親の所得税の控除への影響
投稿日時:2013-06-14 00:50 | |
質問受付中 回答者数:1件 |
現在、大学に通っている20歳のものです。 親は、所得税を負担する際に 扶養家族の控除を受けていると思いますが 仮に、自分が個人事業主となって、開業届を出した場合 親の控除額は減ることになるのでしょうか。 ご回答よろしくお願い致します。 |
回答 (1件)
No.1 | |
投稿日時:2013-06-14 16:24 |
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個人事業主となって仕事をはじめた場合に、お父様の扶養になれるかどうか、ということですね。 所得税・住民税で扶養になれるのは、その年1年間(1/1-12/31)の「所得金額合計が38万円以下」という条件になっています。 所得金額って何?と思いますよね。 所得税等では、所得をその内容によって区分し、その所得区分ごとに所得金額の計算方法が違っています。 個人事業主の場合は、「事業所得」という所得区分となり、その場合の所得金額の計算は、 ・所得金額=収入−費用 で計算します。 「収入−費用」とは、わかりやすくいえば利益のことですね。 個人事業主になっても、年間利益が38万円以下であれば、扶養に入れることになります。 個人事業主だから扶養になれないというのではありません。 具体例で計算しましょう。 たとえば、年間売上1000万円、経費900万円であれば、1000万円−900万円=100万円が所得金額になります。 所得金額が100万円で38万円を超えていますので、この場合は扶養になることはできません。 ただし、青色申告といって、取引を複式簿記により記録するなど一定の要件を満たす場合、事前の申請によって、最大さらに65万円を引いてもらうことができます。 青色申告特別控除といいます。 その場合は、「所得金額=収入−費用−青色申告特別控除」となります。 要件を満たしていれば、上の場合でも ・売上1000万円−経費900万円−青色申告特別控除65万円=所得金額35万円 となり、所得金額38万円以下になりますから、扶養に入れることになります。 参考ですが、 サラリーマンやアルバイト・パートの場合でもらう給与(給与所得)の場合の所得金額は、 ・所得金額=給与収入−給与所得控除 です。 この給与所得控除は、給与収入によって一定の算式によって計算され、最低65万円となっています。 したがって、扶養になれる「所得金額合計が38万円以下」の条件から逆算すると、 所得金額38万円+給与所得控除65万円=給与収入103万円になりますから 給与収入が年間103万円以下であれば、扶養に入れることになれるわけです。 複数の所得区分の収入がある場合には、それぞれで計算した所得金額を合計します。 個人事業主の収入もあり、アルバイト収入もある場合は、 事業所得の所得金額+給与所得の所得金額で扶養に入れるかを判断します。 あなたが扶養に入れないと、お父様の税金対象の所得金額が、所得税で63万円、住民税で45万円多くなり、年間少なくとも10万円は税金が高くなってしまいます。 なお、扶養には上記のような税金上の扶養と、社会保険上の扶養があります。 社会保険の場合に扶養に入れるのは、年間収入130万円未満となっていますので、個人事業を始めれば売上が130万円以上になるでしょうから、扶養から外れてご自身で健康保険料を払うことになります。 参考:被扶養者とは(社会保険。協会けんぽ) http://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230 毎年11月ごろになると、お父様は勤務先へあなたを扶養かどうか届けることになります。 そのときに、所得の状況をお父様に伝えず、お父様が扶養として会社に提出してしまうと、あとから税務署から会社へ指摘があって、お父様に迷惑をかけることになります。 必ず毎年お父様に状況を伝えるようにしてください。 また、上記のように、あなたが扶養に入れないとお父様の税金が高くなります。 扶養しているから税金が安くなっていたのですから、扶養から外れるなら、 ご自身の生活費を親から出してもらわず、自分の商売の利益から出すようにしてくださいね。 【回答者】よねづ税理士事務所 税理士 米津晋次 http://www.yonezu.net/info/606.php |